「堕落」
ジャック・ぺランを知る人は少なかろう。
フランスの監督・俳優だ。「Z」「戒厳令」「告白」「ニューシネマ・パラダイス」は有名。
彼が青年の頃に出演した「堕落」という映画を今観たいが、ない。
物語は、出版社の社長を父に持つ青年が神学の道を志す。
ある日、その青年は父の愛人と関係を結んでしまう。
父親に幻滅した青年が悩み、己を堕落させていく、という内容。
父親や母親に幻滅する、という経験は青年時代に一度、二度あるのかもしれない。
が、これが大人になり父親も母親も“人間らしい”と思えるように学ぶことが出来るのか出来ないかにより、ある種、人生のサングラスが決まる。
父親が母親の悪口を言うのは少ないが、母親が父親の悪口を言うのはとても多い。
これを聞かされる子供の性別が男か女かでも、受けとめ方が変わる。
父親が嫌いになった娘は、孤独。
母親が嫌いになった娘は、女性の友達が作れない。
人間の何が善で、何が悪か、これほど曖昧なものはない。
核の一番怖い相手は戦争だ。